インターネットを安全に利用したい、海外のコンテンツにアクセスしたい、プライバシーを守りたい。そんな悩みを抱えている方に、VPN(仮想プライベートネットワーク)の利用をおすすめします。しかし、有料のVPNサービスは敷居が高いと感じる方も多いでしょう。
そこで本記事では、無料で使えるVPNの中から厳選した12個のサービスをご紹介します。さらに、無料VPNの危険性や選ぶ際のポイント、注意点についても詳しく解説していきます。
はじめに
VPNは、インターネット上に仮想的な専用回線を作り出す技術です。この技術を利用することで、公共のWi-Fiでも安全にインターネットを利用したり、地理的制限のあるコンテンツにアクセスしたりすることができます。しかし、有料のVPNサービスは月額料金がかかるため、気軽に試すことが難しいと感じる方も多いでしょう。
そこで注目されているのが無料のVPNサービスです。無料で利用できるVPNは、有料サービスの機能を制限して提供されているものや、完全無料のサービスなどさまざまです。ただし、無料サービスには危険性や注意点もあります。本記事では、安全に利用できる無料VPNの選び方や、おすすめのサービスを紹介していきます。
無料で使えるおすすめVPN12選
それでは、実際に無料で利用できるおすすめのVPNサービスを12個紹介していきます。各サービスの特徴や機能、制限事項などを詳しく解説していきますので、自分に合ったVPNを見つける参考にしてください。
1. ProtonVPN
ProtonVPNは、スイスを拠点とする高セキュリティで知られるVPNサービスです。無料プランでは、3か国のサーバーに接続可能で、データ転送量に制限がありません。これは他の無料VPNにはない大きな特徴です。
ProtonVPNの特徴は以下の通りです。
強力な暗号化技術を採用しており、AES-256暗号化やPerfect Forward Secrecyなどの高度なセキュリティ機能を提供しています。また、厳格なノーログポリシーを採用しているため、ユーザーのプライバシーが守られます。
無料プランでは1台のデバイスのみ接続可能ですが、中速程度の通信速度を維持しています。P2P通信やストリーミングサービスへのアクセスは制限されていますが、基本的なウェブブラウジングやメールの利用には十分な機能を提供しています。
2. TunnelBear
TunnelBearは、カナダを拠点とする使いやすさで人気のVPNサービスです。可愛らしいクマのキャラクターが特徴的で、初心者にも親しみやすいインターフェースを提供しています。
TunnelBearの無料プランでは、月に500MBのデータ転送量が提供されます。これは他の無料VPNと比べると少ない量ですが、ツイッターでTunnelBearについてツイートすることで追加の1GBを獲得できるユニークな特徴があります。
セキュリティ面では、AES 256-bit暗号化を採用しており、高度なプライバシー保護を実現しています。また、独自の「VigilantBear」機能(キルスイッチ)により、VPN接続が切断された場合でもユーザーの情報を保護します。
3. Windscribe
Windscribeは、カナダを拠点とする比較的新しいVPNサービスですが、その充実した機能と寛大な無料プランで急速に人気を集めています。
Windscribeの無料プランでは、月に10GBのデータ転送量が提供されます。これは多くの無料VPNの中でもトップクラスの容量です。さらに、メールアドレスを登録することで追加の5GBを獲得できます。
無料プランでは10か国以上のサーバーにアクセスできます。これは他の無料VPNと比べても多い選択肢です。また、P2P通信にも対応しているため、ファイル共有などにも利用可能です。
セキュリティ面では、AES-256暗号化を採用し、独自の「R.O.B.E.R.T」機能によりマルウェアやフィッシングサイトをブロックします。また、厳格なノーログポリシーを採用しているため、ユーザーのプライバシーが守られます。
4. Hide.me
Hide.meは、マレーシアを拠点とするVPNサービスで、高速な接続と強力なセキュリティ機能が特徴です。無料プランでは月に10GBのデータ転送量が提供され、5つの場所のサーバーに接続可能です。AES-256暗号化やIPv6サポート、DNSリーク保護などの高度な機能を提供しており、厳格なノーログポリシーを採用しています。また、無料プランでもP2P通信に対応しているため、ファイル共有などにも利用可能です。
5. Hotspot Shield
Hotspot Shieldは、アメリカを拠点とするVPNサービスで、高速な接続速度と使いやすいインターフェースが特徴です。無料プランでは1日500MBのデータ転送量が提供され、アメリカのサーバーにのみ接続可能です。独自の「Catapult Hydra」プロトコルを採用しており、高速かつ安全な接続を実現しています。ただし、無料プランではストリーミングサービスへのアクセスは制限されており、広告が表示されます。
6. VPN Gate
VPN Gateは、日本の筑波大学が運営する学術実験プロジェクトとして始まったユニークなVPNサービスです。完全に無料で利用でき、世界中のボランティアが提供するサーバーを利用できることが特徴です。データ転送量に制限がなく、P2P通信にも対応しています。ただし、ボランティアベースのサービスであるため、各サーバーのセキュリティレベルは一定ではありません。
7. Avira Phantom VPN
Avira Phantom VPNは、オンラインセキュリティの実績を持つAviraが提供する無料VPNサービスです。無料プランでは月に500MBのデータ転送量が提供され、メールアドレスを登録すると1GBに増加します。ユーザーのインターネット利用状況を追跡しない仕組みを採用しており、プライバシーの保護に優れています。また、パソコンだけでなくiPhoneやAndroidなどのモバイルデバイスでも利用可能です。
8. OperaVPN
OperaVPNは、Operaブラウザに統合された無料VPNサービスです。ブラウザをダウンロードするだけで誰でも無料でVPNが利用でき、登録も不要です。ノーログポリシーを採用しており、ユーザーのプライバシーを保護します。ただし、ブラウザ内蔵型のVPNであるため、システム全体の保護は提供していません。
9. Speedify
Speedifyは、高速な接続を特徴とするVPNサービスです。無料プランでは月に2GBのデータ転送量が提供され、25か国以上のサーバーにアクセス可能です。独自の「Bonding Mode」機能により、複数のインターネット接続を組み合わせて通信速度と安定性を向上させることができます。ただし、主な動画配信サービスのブロックは解除できません。
10. Atlas VPN
Atlas VPNは、比較的新しいVPNサービスですが、充実した機能と使いやすさで人気を集めています。無料プランでは2つのサーバーロケーションが利用可能で、データ転送量に制限はありません。AES-256暗号化を採用し、ノーログポリシーを遵守しています。また、無料プランでも通信速度の低下が少ないことが特徴です。
11. ZoogVPN
ZoogVPNは、オールインワンVPNサービスとして知られています。無料プランでは月に10GBのデータ転送量が提供され、3つのサーバーロケーションが利用可能です。OpenVPNやIKEv2などの信頼性の高いVPNプロトコルを採用しており、高度な暗号化でユーザーのプライバシーを保護します。ただし、無料プランではストリーミングサービスへのアクセスが制限されています。
12. Betternet
Betternetは、シンプルで使いやすいインターフェースが特徴の無料VPNサービスです。無料プランではデータ転送量に制限がなく、クレジットカードや登録も不要です。AES 256-bit暗号化を採用しており、ユーザーのプライバシーを保護します。ただし、無料版では広告が表示され、サーバーの選択肢が限られています。また、過去にセキュリティ上の懸念が指摘されたことがあるため、重要な情報のやり取りには注意が必要です。
無料VPNの危険性
無料VPNサービスは魅力的に見えますが、いくつかの重要な危険性があります。これらのリスクを理解することで、より安全なオンライン体験を得ることができます。
データ収集とプライバシーリスク
多くの無料VPNサービスは、ユーザーのデータを収集し、第三者に販売することで収益を得ています。これは、プライバシーを守るためにVPNを使用する本来の目的と矛盾します。例えば、Betternetのようなサービスでは、広告主やアプリ開発者との提携を通じて収益を得ており、ユーザーの閲覧履歴や個人情報が共有される可能性があります。
また、一部の無料VPNプロバイダーは、ユーザーのオンライン活動に関するログを保持しています。これは、政府機関や法執行機関からの要請があった場合に、ユーザーの情報が開示される可能性があることを意味します。例えば、ZoogVPNは無料版ではログを保持する可能性があり、完全なプライバシー保護を保証していません。
セキュリティの脆弱性
無料VPNサービスは、しばしば最新のセキュリティ対策を実装していない場合があります。例えば、一部の無料VPNは古い暗号化プロトコルを使用しており、これらは容易に解読される可能性があります。また、マルウェアや広告を挿入するVPNサービスも存在し、ユーザーのデバイスやデータを危険にさらす可能性があります。
例えば、Opera VPNは無料で使いやすいサービスですが、ブラウザ内蔵型のVPNであるため、システム全体の保護は提供していません。これは、ブラウザ外のアプリケーションやサービスがVPNの保護を受けられないことを意味します。
通信速度と安定性の問題
無料VPNサービスは、多くの場合、有料サービスと比較して速度が遅く、接続が不安定です。これは、無料ユーザーに割り当てられるサーバーやリソースが限られているためです。例えば、TunnelBearの無料版では、月間データ転送量が500MBに制限されており、大量のデータ通信や動画ストリーミングには適していません。
また、Speedifyのような一部のVPNサービスは、高速接続を提供するためにチャネルボンディング技術を使用していますが、これが暗号化を弱める可能性があります。セキュリティと速度のバランスを取ることが重要です。
機能制限
多くの無料VPNサービスは、有料版と比較して機能が大幅に制限されています。例えば、利用できるサーバーの数や場所が限られていたり、特定のストリーミングサービスへのアクセスがブロックされていたりします。
AtlasVPNの無料版では、サーバーの選択肢が限られており、高度な機能であるSafeSwap機能やマルウェアブロッカーが利用できません。同様に、Avira Phantom VPNの無料版では、データ転送量に制限があり、すべての機能を利用することはできません。
これらの制限は、ユーザーのオンライン体験を制限し、VPNを使用する本来の目的を達成できない可能性があります。
無料VPNを選ぶポイント
無料VPNを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。これらのポイントを押さえることで、より安全で効果的なVPNサービスを選択することができます。
セキュリティ機能
無料VPNを選ぶ際、最も重要なポイントの一つはセキュリティ機能です。強力な暗号化プロトコルを使用しているかどうかを確認することが重要です。例えば、ProtonVPNの無料版は、AES-256暗号化やPerfect Forward Secrecyなどの高度なセキュリティ機能を提供しており、これは多くの有料VPNと同等のレベルです。
また、キルスイッチ機能の有無も重要です。この機能は、VPN接続が突然切断された場合に、インターネット接続も同時に切断することで、データの漏洩を防ぎます。例えば、Windscribeの無料版にはキルスイッチ機能が含まれており、これはユーザーのプライバシーを保護する上で重要な役割を果たします。
プライバシーポリシー
VPNプロバイダーのプライバシーポリシーを確認することは非常に重要です。特に、ノーログポリシーを採用しているかどうかに注目すべきです。ノーログポリシーとは、VPNプロバイダーがユーザーのオンライン活動に関するデータを収集・保存しないことを意味します。
例えば、Hide.meの無料版は厳格なノーログポリシーを採用しており、ユーザーのプライバシーを尊重しています。一方で、一部の無料VPNサービスは、ユーザーデータを収集し、広告主や第三者に販売している可能性があるため、注意が必要です。
サーバーの場所と数
無料VPNを選ぶ際、利用可能なサーバーの場所と数も重要な考慮点です。より多くのサーバー位置があれば、地理的制限のあるコンテンツにアクセスする際に柔軟性が高まります。また、サーバー数が多いほど、一般的に接続の安定性と速度が向上します。
例えば、Windscribeの無料版は10か国以上のサーバーにアクセスできるため、他の多くの無料VPNと比較して選択肢が豊富です。一方、Hotspot Shieldの無料版はアメリカのサーバーにのみ接続可能であり、地理的制限の回避には限界があります。
速度と性能
無料VPNの多くは、有料版と比較して速度が遅い傾向にありますが、一部のサービスは比較的良好な性能を提供しています。例えば、ProtonVPNの無料版は中速程度の通信速度を維持しており、基本的なウェブブラウジングやメールの利用には十分な性能を提供しています。
また、P2P対応も重要な要素です。ファイル共有やトレントの利用を考えている場合、P2P対応のVPNを選ぶ必要があります。例えば、Hide.meの無料版はP2P通信に対応しており、この点でユーザーに柔軟性を提供しています。
デバイス対応
最後に、VPNが対応しているデバイスやプラットフォームを確認することも重要です。多くの無料VPNは、Windows、Mac、iOS、Androidなどの主要なプラットフォームに対応していますが、同時接続可能なデバイス数に制限がある場合があります。
例えば、Atlas VPNの無料版は複数のプラットフォームに対応していますが、同時接続数に制限があります。一方、Opera VPNはブラウザ内蔵型のVPNであるため、ブラウザ外のアプリケーションには保護が及びません。
これらのポイントを考慮しながら、自分のニーズに最も適した無料VPNサービスを選択することが重要です。ただし、完全な安全性とプライバシーを求める場合は、有料のVPNサービスを検討することも視野に入れるべきでしょう。
無料VPNを使用する際の注意点
無料VPNを使用する際には、いくつかの重要な注意点があります。これらの点に留意することで、より安全にVPNサービスを利用することができます。
個人情報の取り扱い
無料VPNを利用する際、最も重要な注意点は個人情報の取り扱いです。多くの無料VPNサービスは、ユーザーのデータを収集し、第三者に販売することで収益を得ています。そのため、重要な個人情報や機密情報の送受信には、無料VPNの使用を避けるべきです。特に、オンラインバンキングや機密性の高い業務には、より安全性の高い有料VPNサービスの利用を検討しましょう。
また、無料VPNを使用する際は、個人情報の登録をできる限り避けることが重要です。本名、住所、メールアドレス、電話番号、クレジットカード情報などの重要な個人情報は、無料VPNを介して入力しないようにしましょう。これらの情報が悪用されるリスクを最小限に抑えることができます。
利用目的の明確化
無料VPNを使用する際は、その利用目的を明確にすることが重要です。無料VPNは、一時的な使用や、地理的制限のあるコンテンツへのアクセスには適していますが、常時使用や高度なセキュリティが要求される用途には向いていません。
例えば、動画視聴やオンラインゲームなど、大容量のデータ通信を必要とするサービスの利用は、無料VPNでは困難な場合が多いです。多くの無料VPNはデータ転送量に制限があるため、高画質な動画ストリーミングやオンラインゲームをスムーズに楽しむことは難しいでしょう。
また、ビジネス目的での利用は特に注意が必要です。企業の機密情報や顧客データを扱う場合は、無料VPNの使用は避け、セキュリティ機能が充実した有料のVPNサービスを検討すべきです。
定期的な更新とセキュリティチェック
無料VPNを安全に利用するためには、定期的な更新とセキュリティチェックが欠かせません。VPNアプリを使用している場合は、常に最新バージョンを使用するようにしましょう。アプリの更新には、セキュリティの脆弱性を修正するパッチが含まれていることが多いため、定期的な更新は非常に重要です。
また、VPNサービスに関するセキュリティニュースや更新情報を定期的にチェックすることも大切です。VPN業界では、新たな脆弱性や攻撃手法が発見されることがあります。これらの情報を把握し、必要に応じて対策を講じることで、潜在的なリスクを最小限に抑えることができます。
さらに、使用しているVPNサービスのプライバシーポリシーや利用規約の変更にも注意を払う必要があります。これらの変更によって、データの取り扱いやセキュリティ対策に影響が出る可能性があるためです。
まとめ
無料VPNは便利なツールですが、セキュリティリスクや機能の制限があります。個人情報の保護、利用目的の明確化、定期的な更新とセキュリティチェックに注意を払うことが重要です。高度なセキュリティが必要な場合は、有料VPNの利用を検討しましょう。安全なオンライン体験のために、VPNの特性を理解し、適切に活用することが大切です。


